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(1)浅い水密の箱の中に、乾いた試料を用意する;
(2)試料に水を入れて一様になるまで撹拌する;
(3)試料を箱の片側に集めて、試料のある側を僅かに持ち上げて、容器を傾ける;
(4)試料から水が充分に排出される状態になるまで、(2)と(3)の手順を繰り返す。
 この方法により、試料の水分値は、通常の排水状態で達し得る最大値に近くなるものと考えている。
(2) 貫入法試験結果
 前述の方法で調製された試料に対する貫入法試験の結果は、参考−1−付録2の表3に示されている。貫入法では、加振後のビット貫入量が 50 mm 未満の場合に、液状化は発生していないと判定されるため、各試料の液状化可能性の判定は表の通りになる。この結果から、D10 = 1.4 mm は、液状化が発生しないと考えられる粒径分布の下限であると言える。安全余裕を考慮して、石炭に対するクライテリアは 2.0 mm とした。

 

3.5.4. 真密度に基づく液状化クライテリアの使い分け
 ある固体ばら積み物質について、粒径分布に基づき液状化の可否を判定しようとした場合、スラグ用と石炭用のどちらのクライテリアを用いるべきかという問題については、真密度に基づき判断するのが適当であろう。石炭の真密度は約1,400kg/m3であり、スラグの真密度は約3,000〜3,600kg/m3であった。各種の真密度の物質を入手して試験を行うこつは困難であるため、真密度のクライテリアとしては、2,000kg/m3を提案した。これにより、石炭のように生物(有機物)を起源とするものと、鉱物質のものに大別できると思われる。

 

3.5.5. まとめ
 粒径分布に基づく液状化物質の範囲について試験研究を実施し、安全余裕を見込んだクライテリアを決定した。これにより、我が国の規則で言うところの「微細な粒状物質」の意味はより明らかになったと言える。
 ここで示したクライテリアは、排水後の飽和度により液状化の可否を判定する液状化物質判別試験及び排水状態で含み得る高い水分値の石炭試料を用いた貫入法試験に基づいて決定している。そのため、このクライテリアに基づき液状化物質では無いと判定された物質であっても、船倉内のビルジの排出を行わずに運送すれば、液状化が発生する恐れがあることに留意されたい。

 

 

 

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